2012年2月14日火曜日

きみの友だち

著:重松清

この本は、交通事故で松葉杖無しでは歩けなくなった女の子が主人公です。ですが、短編シリーズなのでこの女の子の弟やクラスメイトを主人公として書かれた作品も入っています。
この本を読んで「友だちってなんだろう・・・」と考えさせられました。毎日話す子?秘密話を打ち明けられる子?・・・人それぞれ基準は違うと思いますが、私は主人公の言った「わたしは、一緒にいなくても寂しくない相手のこと、友だちって思うけど」という言葉が印象づいています。なんだか意味が深いなあーと思いました。
この本を読むと、「友だち」のヒントをもらえると思います。

(ひろ)

2012年1月7日土曜日

約束

著:石田衣良

石田衣良さんは、私が大好きな作家さんの一人です。
私にとって、元気がなくなったとき、悩んだときにこれを読むと背中を押してもらえる、と思える短編は石田衣良さんのものが多いのです。

多分今後も何冊か石田衣良さんの本の感想を書くことになると思います。ご了承を!
この本は「back to life」をテーマにした短編集です。先日ブックオフで見かけて、久しぶりに読みたいな、と思って購入しました。
7つの短編の中から、私が気に入ってる3作品の感想を書きたいと思います。

表題作である「約束」は、スーパーマンみたいな男の子と、その友達の男の子のお話です。
2001年の池田小学校事件を題材にしたお話です。目の前でヒーローのような親友が、自分を守ろうとして亡くなった。
残された人間の苦しみ、それでも前を向いて生きる大切さが丁寧に描かれていると思います。
あとがきに石田衣良さんご本人が書かれている通り、最初の1行の重さは大きいです。

2つめは、「冬のライダー」という作品です。
モトクロスが上手くならなくて悩む青年と、辛口にアドバイスする女性が出てきます。
最初は2人ともネガティブだったり、後ろ向きだったりしますが、
モトクロスの指導を通じて終盤にはしゃんと前を向いて、いい表情している…んじゃないかなーと思っています。
「おじさん、かっこいいカモだね」という台詞に、すっきりとした気分になれるのはこの作品くらいです、多分。

3つめは、「夕日へ続く道」です。
不登校の少年と、廃品回収のおじいさんの話で、このおじいさんがカッコイイ!
人の温かさに触れられる話です。私もこんな大人になれたらいいなと思いました。
赤の他人から、こんな信頼が築けるような2人の関係が素直に羨ましいです。

誰もがいろんな形で苦しみを抱えているけど、前を向けばちゃんと道は広がっているんだと感じさせてくれる短編集です。
壁にぶち当たった時に読みたい1冊でした。

(おじょー)

ミッキーマウスの憂鬱

著:松岡圭祐

私がこの本に出会ったのは、2年程前の話です。
その時は観光学部に入ることなんて考えたこともなく、学校帰りに寄った本屋で見たポップが印象的で、記憶に残っています。

私の周りには将来キャストになりたいといっていた友人や、隠れミッキーを探すためだけにディズニーランドに行く友人など、ディズニーランド好きがたくさんいます。
観光学部に入って、テーマパークの見方が変わった気がします。これを機会に、この本を読んでみたいな、と思いました。

この本を読み始めた当初は、「あれ?これ、ディズニーランドの話だよね?」と思いながら読んでいました。
空回りしてしまう主人公、正社員と準社員という格差の中で悩む登場人物の姿に、夢の国のイメージから大きくかけ離れたものを感じたからです。
着ぐるみ一つで従業員に重圧をかけて、追い込んでしまう重役の姿には、「え?夢の国なのにこんなにどろどろしてるのか!?」と思ったほどです。
「中の人などいない」精神の徹底や、クラブ33のぬいぐるみの配置の話など、クスッとしてしまうエピソードもあって、読み応えがありました。
終盤は疾走感がすごくあって、手に汗握るクライマックス。ミッキーマウスの中の人がかっこよすぎです。
主人公の成長とともに、仕事ってなんだろう、お客様を迎えることってなんだろう、と考えさせられる終わり方だったと思います。

なにせ超秘密主義のディズニーランドなので、どこまでがフィクションなのか私にはわかりませんが、1つの世界観を作り上げるために、
これだけの人が裏で頑張っているということは共通していると思います。
着ぐるみの行方だけでこんなドラマが生まれる、着ぐるみ一つで大事件になる、夢の世界は、想像以上に精密で厳しい世界でした。
あとがきによると作者の方は、ほかにもさまざまな観光地を題材にして小説を書かれているそうです。
ほかの作品もぜひ拝見したいと思います。

(おじょー)

2011年12月17日土曜日

人間失格

著:太宰 治

私がこの本をはじめて手にとったのは、ちょうど、受験勉強真っ最中でした。教科書や参考書以外の本も読まなくては、と、本屋をめぐっていたところ、実写映画の主演になった生田斗真の表紙に惹かれ、購入してしまいました。(笑)

本の内容は、「大金持ちの息子、頭脳明晰、容姿端麗」という何とも恵まれた境遇で育った、主人公・大庭葉蔵の、輝き、そして堕落していく人生を描いています。

文章は難解な単語や言い回しが多かったり、一文がとても長かったり、読みきるまで時間はかなりかかりました。しかし、文章全体に、悲しみ・深い欲望・狂気がうまく散りばめられていて、雰囲気にのめりこまされてしまいます。実際、読み終わった後も世界観から抜け出せず、しばらく陰気なきもちで。また、表現が現代ではあまり使わないものが多く、暗い美しさをうまく醸し出しています。

結末は、詳しく言えないですが、ハッピーエンドではありません。私にとっては、とても後味悪い結末でした。ただ、普通のバッドエンドと一味違うのは、「主人公・大庭葉蔵にとっては、はたしてそれはバッドエンドだったのか・・・?」と考えてしまうところ。


この本は人間について深く描いた作品の中で、至高のものだと思います。
題名の、人間「失格」とは。
どういう人間が、失格なのでしょうか?

ぜひぜひ、手に取ってみてください!

(ごし)

未来いそっぷ

著:星 新一

この本は、私の大好きな星新一さんの作品のなかでも、とくにお気に入りの1冊です。

シンデレラ、アリとキリギリスなどの有名な童話のパロディや、ほかにも、「未来」をテーマに、ロボットやタイムマシンを題材にしたショートショートが多数おさめられています。

星新一さんのショートショートが好きなのは、ブラックな結末が多いからです。
でも、その中でもときどき感動するオチがあったり、さみしい結末もあったり・・・
まったく展開の読めない作品ばかりです。

文章もかたくるしくなく、テンポよく読めます。
表現もわかりやすく、なにより想像が膨らみやすいです。

ブラックジョークが好きな方や、どんでん返しの物語が好きな方はぜひ!

(ごし)

2011年12月9日金曜日

誰かと暮らすということ

誰かと暮らすということ
伊藤たかみ

私は普段あまり短編集を読まなくて、この本の目次を見た時に"あ~短編集か~"と思ったもののおもしろい題ばかりに興味が湧き読み始めました。

読んでみると短編にはなっているものの、すべて同じ町を拠点として少しずつ登場人物がかぶって出てきて、前の話の登場人物たちの行方も同時にわかって読んでいて楽しかったです。

本のタイトルの通り、誰かと暮らすということについて、一緒に暮らすからこそ生まれる喜びや問題、離れたからこそわかることなどいろいろな境遇におかれた人たちによって書かれています。とくに私は本の内容の半分をしめる"虫壁"とゆう変わった苗字の登場人物がとても好きになりました。苗字と同じく性格も少しひねくれて変わっているのですが、どこか共通・共感する部分がある、憎めない女性です。その"虫"を受け入れる"セージ"との会話がとてもかわいく、ほっこりすると思います。

(チャッキー)

2011年12月5日月曜日

温室デイズ

著:瀬尾まいこ

この本では2人の女子中学生徒がだんだんと崩壊していく学校と自分のやり方で向き合っていく姿が描かれている。

登場している女子生徒はとても真面目で一度自分で決めたことは突き通してしまい、当たり前のことなのだが正しいことは正しいと言い張ってしまうみちると、周りの状況を客観的に見て理解し、正しいとわかっていてもその場面場面により判断し対応する優子の異なる考えの2人の心情が主に書かれており、学生なりの戦いが書かれている。どちらの考えも人の心にはあると思うし、その心の中の葛藤がとても共感することができた。
学校の崩壊を止めること、人を変えることは難しく、何が正しくて何が正しくないのかわからないこともあるが、行動することで少しずつだが学校生活や人を変えることはできるとゆう最後には頑張ろう!と思わせてくれる作品だった。

(チャッキー)