2011年10月31日月曜日

他人事

著:平山夢明

私は2年くらい前にこの人の本に出会い、先日生協の購買でこの本を見つけたので
買いました。
この人の作品はなんというか非常に不快です。
残酷だったり理不尽だったり確実に一般受けはしないと思います。
この「他人事」は14編からなる短編集です。
あらすじはいちいち書くと長いので省きますが、どれもこれもいい意味で非常に悪質で面白いです。
中にはただひたすら女性が若者二人にリンチされて殺される話もあります。
殴る描写ひとつにしても細かくリアルで映像がどんどん頭をよぎります。
オチが読めたりなんとなく展開の予想できる話も多いのですが、そこまでもっていく描写がいちいちえげつない。
人間の狂気とか恐怖をここまで書ける人は少ないと思います。
他の作品もそうですが読むのに根性がいります。
面白いというと楽しんで読んでいる感じがしますが、この作品は怖いものみたさというか、どうしてもカサブタを剥がしたいときのような・・・。
ダメなのに気持ち悪いのに見てしまうそんな面白さだと思います。

(いっちー)

告白

私が今回読んだのは、作者 湊かなえさんの「告白」です。
この本は私的に一言で言うと『現代らしい』内容だったと思います。
4歳の娘を、自分の掛け持つクラスの生徒2人に殺された先生の語りをメインとして
語り手が『犯人である生徒2人』『犯人の家族』など、次々に変わって進んでいく形でした。
友達の裏切りや事件、先生からの復讐が原因でひきこもりになってしまった上に、過保護でそんな息子のことを理解している<つもり>の母親と不安定な息子の気持ちの擦れ違いが起こり、結局息子のために心中を決意した母親までもを殺してしまう犯人の1人。
もう1人の犯人は、幼い時に自分のもとを離れていった研究家の母と会うために 自分で発明した作品で大きな事件を起こそうとして数々の計画を立てるのですが、最後は先生の復讐が混じって、自分の発明品で会いたかった母親を殺してしまう・・・
などなど
まだ他の語り手がいて、どんどん違う方向から全体像が浮かび上がってくる感じでした。
とても暗い内容です!!
でも、私はハラハラしながらこの内容をおもしろく読めました。
たまに見るニュースの事件を、リアルタイムで自分が事件が起こるまでの一部始終を関わりながら見ているような感覚になりました。


なかなかおもしろかったんですが、さすがに次もこのような内容の本を読むのは気分が下がってしまいそうです。
なので、次はもう少し明るい内容に手を付けようかなと思います!!

(もも)

2011年10月25日火曜日

六番目の小夜子

著:恩田陸

中学生時代からずっと家にあった本ですが、題名の印象から勝手にホラー小説だと思っていたため、ずっと避けていた本です。
けれど有名な作品ですし、この機会に読もうと手に取りました。読んでみて確かに単純にホラー小説ではないことは分かりました。
けれど暗い夜道を一人で歩いている時のようなじわじわとくる恐怖感を感じさせるシーンが何度かあり、怖いものが苦手な私には十分なダメージを与える作品でした。
同時に謎が多く残った作品です。説明がつかない出来事も多くて、大概の小説の様に最後の方にわかりやすく事実を書いてる訳でもありません。
そのため想像力が豊かで、色々な可能性を自分で考える事が好きな人にはおすすめの本です。
そして最後まで次に何が起こるか予測ができないような展開で、途中で読むのをやめさせてくれませんでした。そのため多くの人を惹きつける作品ですが。、
終わり方は好き嫌いが分かれると思います。私は起こった事実をストレートに書いてほしい読者なので、そういった点では少し不満の残る作品でした。

(DAN)

2011年10月24日月曜日

"it"と呼ばれた子

作者は自分が実の母親に虐待を受けていました。初めに、もし私なら母親を憎むと思いますが、作者は大人になった今もこころのどこかで母親に認めてほしい、抱きしめられたい、と思っているということが伝わってきました。次に、虐待する親は子供が憎くて虐待するわけではないということもこの本を読んで気づいたことです。この主人公の母親の場合では、夫が彼女の親友と浮気していたことにあったそうです。このように、子供が憎いというよりは、何かほかに都合の悪いことが起きてしまい、自分よりも弱い子供に八つ当たりしていることもよくあるのかもしれません。最後に、虐待は繰り返される可能性が高いということです。子供をなぜ虐待したのかと聞かれて、自分も親にされたからと答える親も多いそうです。虐待の苦しみを知りながら、なぜ同じ苦しみを子供に与えてしまうのか、私には理解できません。

いろいろ原因はあると思いますが、一番愛されたいと思っている親に子供が虐待を受けるなんて、あってはいけないことです。この本を読んで、この思いが一層強まりました。

(ひろ)